monkibiのBL投稿のやつ

主にBL小説投稿に使用(*´・ω・`)b

大嫌いなあの人。②‐2

「高月遅いな」


川野の友達の1人、朝比奈はお昼ご飯のカレー定食を美味しそうに頬張りながらポツリと呟いた。


「相手、男だったよな…しかも二人きり…こく・・・・」

バシッ!!


川野が勢いよく朝比奈を叩く。


「いって!何だよ川野!!」

「別に。お前が変なこと言いそうだったから。つい、ごめん」

「ちっ、お前高月のことになると目付き変わるよな…そんなに好きなの?」

「はっ!?ちげーし!!可愛いけどっっっ!!」

(その反応、それを好きと言ってるようなものでは?)


川野は回りから見てもすごく分かりやすい性格だと思う。嘘はつけないタイプだな。

朝比奈はそう考えてると隣で聞いていた桂が爆弾発言をした。


「告白だろ?あいつ顔可愛いし見た目も華奢でちっこいからな~、この間も3年の先輩から告白されてたぞ。モテるヤツはいいよな♪」

「「はっ?マジかよ?」」


川野と朝比奈の声が被った。


「へ?知らなかったのかよ?俺あいつと隣の席だからよく話すよ~♪どう断ればいいのかわからないってさ♪」

「♪つけんなよ!!え、てか高月襲われてないのか!?」


川野がそわそわして席を立った時だった。後ろから真っ青な顔した高月が小さな声でただいま…と呟いた。


「遅くなってごめんね。お腹すいたぁ」


手にはあんパン1つ持っていた。


「高月!!!!」


高月の姿をなめ回すようにみた。着崩れ、痣等はない。


「あ~さっちゃんお帰り♪大丈夫だった?モテる男は辛いね~」

「「さっちゃん!?」」


川野君と朝比奈君が同時に声を出して驚いてた。


「んん?さっちゃんって呼んでるの…知らなかったの?俺って…さっちゃんといい関係育んでるからな♪」

「か、桂君…なんだかその言い方だと僕たちの関係が怪しくなるよ…」


僕と桂君が話してる間に川野君と朝比奈君がこそこそ話してるのが横目で見えた。2人並んでるとカッコいいなぁと思ってしまうほと、二人は目立っていた。


朝比奈翔(あさひなかける)君

川野君とは高校1年生の時に同じクラスになり友達になったと言う。茶髪に染めた髪型がよく似合う。よくみると耳にピアスも開けている。女子と話してる姿はあまりみたことないが川野君に並んでモテるみたい。


僕と席が隣で人懐っこくて愛嬌のある桂真人(かつらまさと)君。

朝比奈君とは幼なじみで高校1年生の時に川野君とは朝比奈君がきっかけで仲良くなったみたいだ。日に当たるとき髪が赤色に染まってすごくきれいだと思った。動物に例えると猫。女子からは可愛い弟君みたいな扱いを受けている。好きな人がいるらしいが告白できないみたいだ。



川野君と仲良くなってから、僕の周りは素敵な人ばかりだ。

それに比べて僕はひょろっとした体型に女の子みたいな顔。よく同性から告白されてしまう…こんな自分は大嫌いだ。

僕のことをみて好きだと言ってくれる人は僕のどこを見て好きだと言うのだろうか。内面も知らないくせに、ただ単に僕と言う変わった存在をそばに置きたいのか…体を合わせたいだけなのか…考えるだけで吐き気がして気持ち悪い。


桂君と話に夢中になってたらいつの間にか予礼が鳴った。

皆でいやいや次の授業を迎えるなか、ふと川野君に目をやった。

朝比奈君と話してるけど、なんだか声のトーンとか口調が荒っぽい。


(なんだろ…不機嫌?)


僕の胸は嫌な感じがしてならなかった。

大嫌いなあの人。②

あの事件から何週間か経った。


あれから川野君とは昔のことも思いだし仲良くしている。


僕に言葉の暴力を振るってた時とは比べ物にならないくらい、壊れ物を扱うかのように優しく接してくれているのだ。


もともと人と話すことが苦手な僕にとって川野君は憧れの存在と言うよりは異常な存在とも言えた。


それに川野君に触られても、近くに顔があっても全然不快感がないのだ。むしろ心地いい…ほっとして安心してしゃべれる。本当に川野君は異常な塊だ。



クラスの皆も僕と川野君が仲良くなっているのを見て、最初はビックリしていたけど次第に慣れて僕に話しかけてくれる人も自然と増えていった。

話すことになれてない僕は答え方がわからず焦って黙ることが多かったけど周りはゆっくりでいいからと、僕に言ってくれた。

僕は勝手な思い込みで人なんて、と嫌悪していたけどちゃんとしろうとしなかった僕自身はダメな人間である、そう感じずにはいられなかった。


僕が周りと話してる姿をみた川野君はにこにこと笑っていた。

気がついたときには僕はその笑顔が大好きになっていた。もちろんこれは友達としての『好き』なのだろう。


そういえば…この前川野君が言っていたこの想いって何だったのかな…? また川野君に聞いてみよう。






ある日の昼休み、川野君が僕と友達2人を誘って学食に食べに行こうとしたとき。別のクラスの人から僕は呼ばれた。



「高月…ちょっといいか?」


「…うん」



あぁ…またかな?

大丈夫かなと思うけど一応川野君に呼ばれたから行ってくると伝えた。



「何?知り合い?」


「いや、全然知らないけど…ちょっと行ってくるね。先に学食行ってて」



そう川野君と周りの人に伝えて男子生徒についていく。

大嫌いなあの人。①ー2

「・・・・ん?」



1番に目に飛び込んできたのは見慣れない真っ白の天井に、薬品の臭いが鼻をおおう。


僕はなぜか布団の中にいた。


なんだったかな・・・・と考えたが、すぐに記憶がよみがえり身体が震えだした。


人に襲われる恐怖。


(なんで僕があんな目に・・・・しかも相手は男・・・・僕も男だよ?)


「高月!」



すぐ隣から聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「か・・かわの?」


「お前なんでひょこひょことついていくんだよ!!馬鹿じゃなねぇの!?俺がいかなかったらやられてたぞ!!」


「ご、ごめんなさ、い・・・・・・」



僕はたまらず泣き出した。

泣きたくて泣いてるわけじゃない。勝手に涙が出てくるんだ。


(僕・・・安心してる?)


あんなに言葉の暴力を振るってきた川野が僕を助けてくれた。だけど思い返せばそれは今回だけじゃない。

クラスで笑いもの・・・・川野のせいでもあるけど・・・・笑われて気分が悪くなって声をかけてくれるのは、いつも川野だった。



(僕はこいつのなんなんだ?)



「ごめん・・・・言い過ぎた。でもああいうのにもうついて行くなよ?そのときは俺を呼べ」


「・・・・なんで?川野は僕の事嫌いでしょ?」


「あ~~~・・・・・・嫌いじゃねーし・・・・むしろ「じゃあどうして変な事いうの?僕の嫌がること言うんだよ・・・・」



川野がしゃべってるときに僕は堪えきれず今まで言おうと思った事を言った。心に引っかかっていた想いを。



「・・・・高月さ、俺の事覚えてないだろ。それが腹立って・・・・八つ当たりしてたんだよ!!」



真っ赤な顔して話す川野を僕は不覚にも可愛いと思ってしまった。



「・・・・僕たち、以前あったことあるの?」



ふと昔の事を思い出す。

小学低学年、クラスになじめていない僕ともう1人。転校してきたばかりの男の子。

余りものの僕たちは余りもの同士仲良くなった。だけど3ヶ月もしないうちにその男の子はまた転校することになった。

いわゆる転勤族だったのだ。

仲良くなって、僕は毎日が楽しかった。そんな時、急に居なくなった男の子。幼かった僕は泣いた。せっかくできた大切な友達。




「あ・・・・・・あのときの川野・・・・君?」


「そうだよ。あん時の川野だよ」


「なら初めからそれを言ってくれれば僕も名前なんて聞かなかったよ。それに何年も経ってて成長してるから僕全然わかんなかったよ。ごめんなさい」


というか、やることが子供だよ。川野君。


「そうだよな・・・・あの時お前・・・・女かと思ってたんだぞ。だから高校来てクラス名簿みたらお前の名前があって嬉しくなって来て見てみれば・・・・可愛い男の子だったよ。それがショックで今まで八つ当たりしたんだよ。初恋だったのにな」


初恋・・・・・・

「ごめんね。なんか・・・・男で・・・・?」


「謝んなよ。俺が確認しなかったのがダメなんだよ。・・・・・・あのさ、今もこの想いは変わらないって言ったら高月はどうする?」


「?どの想い?」


「・・・・・・別に。(チッ、鈍いやつ)お前女みたいな顔だよな。昔も思い出してくれた事だし、友達再開な。それに今日みたいな事がまたあったらダメだし。俺がお前を守ってやるよ」



きゅん。



(きゅん?なんか胸変・・・・・・)


「女顔・・・・ありがとう・・・・じゃあよろしくお願いします」


「おう!!」



川野君は最高の笑顔で僕との再会と仲直りを喜んだ。


あんなに嫌だった川野君。

小学4年生の川野君だった。僕もあのときの大切な友達と再会できてすごく嬉しい。


でもあんなに仲の悪かった僕たちが、いきなり仲良く肩を並べ話しながら教室に戻って来たときはクラスの皆は目を丸くしてすごく驚いていた。


そのときは少し笑えた。





川野談・・・・

久しぶりにあった五月は変わらず可愛いかった。あのときのこと覚えてはいるのだろうか?


なんて話かけようか。俺の心臓は大きな音を立てながら足早に教室へと向かった。

だが・・・・目の前に居るのは五月ちゃんではなく五月君だった。男だったのかよ・・・・


でもめちゃくちゃ可愛く育ってる。

やばい。男でも好きだ。・・・・でも向こうは俺のこと覚えてもいなかった。

それに腹を立てた俺は言葉の暴力・・・・とやらを使っていじめてみた。俺を思い出せと。

思い出すはずがなかった。

五月は昔に比べてひどく自分の殻に閉じこもっていた。

昔と同じ・・・・俺がひきずり出してやる。


そんなこんなでいろいろあり思い出してくれたが、かんじんの告白はできなかった。

でもいつか好きといって、言わせてやる。

その自身はかなりあった。

それはまた別の話で・・・・。