大嫌いなあの人。②‐5
川野談…
とある昼休み。
誰かわからないやつに呼ばれて行った五月。なにか当番かな?とか考えながら朝比奈と桂と共に学食へ向かう。
2人の口から告白だろう、と聞いた時はビックリした。とうの本人、五月の口からは何も聞いていない。
前に襲われてるところを助けてから警戒するようにと伝えてはいるが、どこかふあふあしていて危なっかしく不安だ。本人は大丈夫の一点張りだが、五月は自分の可愛さをちゃんと理解してないのだ。
五月が戻ってきて桂と話ながらあんパンを頬張っている。あんなのだけでお腹膨れるのか心配だが相変わらず可愛いやつ。
じっと五月を見ていると横から朝比奈がこそこそと話しかけてきた。
「高月さ、前に比べて明るくなったよな。前は高嶺の花だったじゃん?可愛いんだけど近寄りがたい感じ?でもお前と仲良くなってさ、う~ん、いいんだけどちょっと危ないよな~」
「(高嶺の花ねぇ~)危ないってどういうこと?」
「お前いつも高月のこと見ててわかんねぇの? 鈍いよなぁ…」
呆れた感じで俺のことを見る朝比奈。
「うっせぇ。てかそんな見てないし。てか危ないって何がだよ?」
「はぁ。あのな、あんな可愛い子が前の近寄りがたい感じが抜けて愛想よくなってみ? 人気爆発だぜ?さっきだって告白されてたんだろ?おにーさんは高月の貞操が心配だわ」
「チッ。俺が傍にいて守ってやるよ。高月は俺のだ」
朝比奈がニヤニヤしながら見てくる。もう前から五月の話題でいじられるからそろそろ慣れてはきたが…鬱陶しい。
朝比奈からは目を離すな、ついでに今日ものにしてみたら?と冗談混じりに言われた。できるものなら今すぐにでも襲って俺の所有物であるという証を残したいものだ。
放課後。
五月は日誌を書くとかで放課後残るみたいだ。いつも一緒に帰ってたので静かに待つことにした。何を考えてるのか…ゆっくりとふあふあした感じで本当に危なっかしい存在。
外を眺めてる五月は可愛いのだがすごく綺麗でもあった。人気なのもわかる気がする。
俺は五月から目が離せなくなった。声に出すつもりはなかったけどいつの間にか五月の名前を呼んでいた。少ししてから返事が返ってきた。俺は思わず好きだ。と言いそうになり言葉を飲み込んだ。
やべっ。焦った。ここで五月に嫌われる訳にはいかない。
でも、こいつもこいつで警戒心とか無さすぎではないか?
そう思っていたら五月が俺の顔を押さえ込んだ。なんなんだこいつは。少し腹が立ってきたからつい言葉にして五月に言ってしまう。
案の定、五月は困った顔になり顔を赤らめて下を向いたまま俺を見ようとはしなかった。その行動が俺にとっては好意に感じ取れた。
五月の両頬を包み込み顔を勢いよく上げ、ビックリした。大きな目から大粒の涙がポロポロと流れ落ちていたのだ。
「僕のこと嫌いなんでしょ?」
そう言われたときは驚いた。
思わず席をたち五月の前えと移動し、五月を抱き締めた。泣かれたら困る。手を出しそうになる。その前に止めなければならない。
五月は嫌がることもなく俺は抱き締めたいとも言い、俺は快く承諾した。
柔らかい、言い匂いがする、腕にすっぽりと収まる感じが堪らない。思わず腕に力がこもる。
五月は誰にも渡さない。俺だけの五月で居てほしい。もう首輪を着けて監禁しておきたい。
そう考える俺は五月にとってどんな風に写っているのだろうか。
親友…と言って線引きしてるのに頭の中ではめちゃくちゃに犯してる。
俺はとてつもなく汚れてる。
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