monkibiのBL投稿のやつ

主にBL小説投稿に使用(*´・ω・`)b

大嫌いなあの人。③‐3

お昼ご飯を持って桂君と屋上へと急いで向かう。

屋上には誰もいなかった。季節は秋から冬に変わりつつある。もう肌寒い。冷たい風が頬をなでる。



「さっちゃん。もっかい聞くけど…そんなに川野のこと好きなん?」



その質問に、僕は恥ずかしい気持ちでいっぱいになるも、目の前の桂君は笑いもせず、ただじっと僕の目を見続けていた。

そんな相手に失礼な態度をとれるわけもなく、僕は再度覚悟を決めて桂君に気持ちをぶつけた。



「お、男が男を好きだなんて…気持ち悪いよね?で、でも僕は川野君じゃなきゃダメなんだ…でも、でも川野君を目の前にしたら泣いちゃうし、何を話したらいいかわからないんだ。僕って本当にき、気持ち悪いよね?ごめんなさい…」


「あはは♪」



え?か、桂君笑ってる?



「さっちゃん。男が男を好きって言うのは俺は全然いいと思うよ!!確かに周りに知られたら好奇の目で見られたりおかしな目で見られたりするけど、同じ同性だからダメなの?子供産めないからダメなのかな?俺は、恋愛は自由にしていいものだと思うから…う~ん、頭混乱してきた」


「桂君……ありがとう」



僕は安心した。今心から笑えている。



「あ、さっちゃん今ちょー可愛い♪ごちそうさまでした☆ちなみにさ、俺の好きな人も男だぜ」


「へっ!?そうなの?な、なら僕も桂君の相談にのりたい!!!!」



お互い好きな人が同性ということで僕たちは前よりもっと仲良くなった。以前の僕からしたらすごい進歩だ。嬉しくてしょうがない。

この気持ちを忘れずにずっと大切にしていきたい。





昼休みが終わりに差し掛かるとき、桂君からテスト週間に入ったから勉強に川野を誘えば?と提案された。

朝にも言われたことを思い出し、僕はどうするか悩んだ。



(誘ったら川野君は機嫌治してくれるかな?また、…この間みたいに抱き締められたいし抱きつきたい…)


「川野なら絶対OKする。ちなみにあいつ一人暮らしだから遠慮とかしなくて全然いいぜ♪」

(てか……川野はさっちゃんにベタ惚れなの、わかんないかな?お互い鈍いのな………そこは敢えて黙っておこう!!いつか二人が笑って報告してくれる日を俺は楽しみに待つ。もしかしたらその日は近いかもしれない!)



予令が鳴り、教室へ向かう途中に桂君からそう言われたことを思い返し意気込んでいると教室の前に川野君が見えた。さっきのことを謝って一緒にテスト勉強しようとちゃんと伝えようと思い僕は川野君の元へと駆け寄ろうとしたが、



「か!川野………くん………」



川野君の周りには女の子達がいた。そうだ、川野君はモテるのだ。僕一人にかまってくれるはずがないのだ。何を…期待してたのだろうか…

一人の女の子が川野君に抱きついた。川野君は嫌がる素振りも見せていない。女の子はそれをいいことにずっと抱きついてなかなか離れない。すごく……気持ち悪い。吐きそうだ………



「さっちゃん?え?大丈夫?なんか顔真っ青だよ!?」


「だ、大丈夫だけど……ちょっとトイレ行ってくるね…」



僕は口を押さえながら桂君に伝えトイレへと急ぐ。その時川野君と目が一瞬だけ合ったけどすぐに目を逸らした。


(あの状態の川野君は………嫌だ、見たくない……)

大嫌いなあの人。③‐2

学校に着いて靴を履き替えていると川野君とばったり会ってしまった。

僕は今朝がた見た夢と、放課後抱き合ってたことを同時に思い出し、心臓が暴れだし顔も熱くなり涙も出そうになっていた。


「……おはよう五月。なんか熱あんの?顔赤いし…涙目…(朝からくそ可愛いやつ、他のやつがいるのにそんな顔すんなよ!!)」


川野君の手が僕に近づいてきた。

僕の体は反射的にそれを避けてしまう。


「…なんで避けんの?」


「違っ!!違うよ!!お、おはよう!!ぼっ!!僕先行くね!!!!」


は、恥ずかしかった。いつもどんな風に川野君に接していたのかわからない。

好きと自覚しただけなのに…どうしたらいいのか全くわからない。



それから授業があり休み時間になっても川野君の顔がまともに見れず話すことすらできなかった。

川野君には申し訳ないが…今の僕に話しかけないでほしいと心かは願う。


昼休みになり、川野君と朝比奈君がお昼に行こうと僕と桂君を誘う。

僕は朝に桂君と話をする約束を思いだし、桂君に目をやると、


「ごめん!!俺たちはいいから川野と朝比奈の二人だけで行ってきなよ♪」


「は?なんで?五月がいかないなら俺もここに…」


「だ!ダメッ!!川野君は来ないで!!!!……………あ。」


しまった。朝からあんなに避けて今もこんな言い方したら…きっと川野君は怒ってしまう。

恐る恐る川野君の顔を見ると、すごい眉間にシワを寄せて僕を見ていた。


「ご、ごめんなさい!!あの、えっと………桂君と二人で話がしたいんだ…川野君、ごめんなさい……」


「チッ。朝比奈昼飯行くぞ」


「ん?もういいの?じゃまたねお二人さん」



ズキッ


(舌打ちされた…胸も痛い………川野君…僕のこと嫌いになったりしないよね…)


下を向いたまま真っ直ぐに川野君が見れない僕。目の前がまた涙でいっぱいになった。


「さっちゃん。そんなに泣くほど川野のこと好きなん?」


「ふへっ!!?か、桂君早く屋上行こう!!!!」


気づいたときには涙が頬を伝っていた。

僕はこんなにも泣き虫だっただろうか。

大嫌いなあの人。③‐1

僕は誰かと抱き合っていた。


お互いが相手の存在を確認するかのように抱き合いながら衣服を脱いで脱がしていく。

どちらからともなく唇を合わし愛を確かめる。

甘い吐息が唇の隙間から漏れる。

優しいキスから激しさをまし、彼の舌が僕の口内をかき乱す。

唇が離れお互いの鼻先をつけたまま、また見つめ合う。


「五月、俺はお前のことが好きだ」


胸がきゅんとし、見えない何かが一気に内側から溢れ出る。それは、名前をつけるならば確実に愛と言うものだった。


「ぼ、僕も………川野君のことが…………………」


え、ちょっと待って!!か、川野君!?僕はいったい何を!!!!!!!!!



ガバッッッッ!!



「はぁ…はぁ…はぁ…なな、ゆ、夢!?」


ぼ、僕はいったい何て夢を見てしまったんだ…。


「あ………………うぅ…ぼ、僕は望んであんな、あんな夢を見た訳じゃ…ない」


言葉に出して否定はしたものの、体は正直であった。

朝から下着を変えないといけないとか…


(こんなの初めてだ………)



熱くなる想いを無理やり沈め急いで家を飛び出し、途中に桂くんと出会った。


「あ、か、桂君!おはよう」


「さっちゃん!!おはよっす!!今日からテスト週間突入だけど、川野と勉強とかすんの?」


僕は川野君の名前を聞いただけなのに顔がさらに熱くなり、今朝方みた夢を思い出してしまった。


「さっちゃん…顔赤いけどなんかあったの?」


「えっ!?な、ないよ!!何もない!!!!」


じっと僕の顔を見てくる桂君。

あ、ダメだ。人に顔見られるの、やっぱり苦手だ。


「さっちゃんと俺の仲だろ?何でも言ってくれよ!!」


「か、桂君…」


僕がまだ川野君から言葉の暴力を振るわれていたとき、桂君は気にせず話しかけてくれていた。僕が無視しても本人は話しかけてくれた。そしてついこの間、桂君から好きな人がいると、ずっと片想いしていて告白なんて一生無理だとも教えてくれた。そんな大切な話を僕なんかにしてくれた桂君。僕も…今のこの気持ちが桂君と同じなら…何か力になれるかもしれない。


「あ、あのさ!!昼休み二人で話せる…かな?」


「おぉ!!いいよ♪何でも聞いちゃう!」


こうして僕は桂君に全部は話せなくても少しずつ少しずつ話していこうと決意したのだった。