大嫌いなあの人。③‐2
学校に着いて靴を履き替えていると川野君とばったり会ってしまった。
僕は今朝がた見た夢と、放課後抱き合ってたことを同時に思い出し、心臓が暴れだし顔も熱くなり涙も出そうになっていた。
「……おはよう五月。なんか熱あんの?顔赤いし…涙目…(朝からくそ可愛いやつ、他のやつがいるのにそんな顔すんなよ!!)」
川野君の手が僕に近づいてきた。
僕の体は反射的にそれを避けてしまう。
「…なんで避けんの?」
「違っ!!違うよ!!お、おはよう!!ぼっ!!僕先行くね!!!!」
は、恥ずかしかった。いつもどんな風に川野君に接していたのかわからない。
好きと自覚しただけなのに…どうしたらいいのか全くわからない。
それから授業があり休み時間になっても川野君の顔がまともに見れず話すことすらできなかった。
川野君には申し訳ないが…今の僕に話しかけないでほしいと心かは願う。
昼休みになり、川野君と朝比奈君がお昼に行こうと僕と桂君を誘う。
僕は朝に桂君と話をする約束を思いだし、桂君に目をやると、
「ごめん!!俺たちはいいから川野と朝比奈の二人だけで行ってきなよ♪」
「は?なんで?五月がいかないなら俺もここに…」
「だ!ダメッ!!川野君は来ないで!!!!……………あ。」
しまった。朝からあんなに避けて今もこんな言い方したら…きっと川野君は怒ってしまう。
恐る恐る川野君の顔を見ると、すごい眉間にシワを寄せて僕を見ていた。
「ご、ごめんなさい!!あの、えっと………桂君と二人で話がしたいんだ…川野君、ごめんなさい……」
「チッ。朝比奈昼飯行くぞ」
「ん?もういいの?じゃまたねお二人さん」
ズキッ
(舌打ちされた…胸も痛い………川野君…僕のこと嫌いになったりしないよね…)
下を向いたまま真っ直ぐに川野君が見れない僕。目の前がまた涙でいっぱいになった。
「さっちゃん。そんなに泣くほど川野のこと好きなん?」
「ふへっ!!?か、桂君早く屋上行こう!!!!」
気づいたときには涙が頬を伝っていた。
僕はこんなにも泣き虫だっただろうか。
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